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PNC TJ1632 98-001, 112 Pages, 1998/03
安価で即応性の良い臨界安全監視システムの開発が望まれている。昨年度は、過去6年間の研究によって得られた知見を基に、実際の臨界安全監視システムとしてシステム化するために必要となるシステムの構成要素モジュールに関する検討をおこなった。そこで、本年度は昨年度提案した解析表示モジュールの中で、ARMAモデル同定と平行して信号解析を行う冗長系として重要な要素となるアダプティブフィルタ(ADF)アルゴリズムモジュールの開発と、このモジュールを用いた実データ解析を行い、ADFアルゴリズムの未臨界度推定手法としての有効性を検討し、以下の成果を得た。ADFによるシステム同定においては、修正係数が大きい時には推定されるパラメータは入力データの統計的性質の変化に素早く追従するが、その反面推定されたパラメータの統計的変動が大きい。逆に修正係数を小さくすると統計的変動は小さくなるが、実際にシステムパラメータに変動がある場合には追従が遅くなり、この現象は定常時系列、非定常時系列を問わず、全てのADFパラメータ推定結果について言える。推定されたパラメータから得られる未臨界度はいずれの場合においても統計的変動が非常に大きい。この統計的変動は逐次型ARMAモデル同定アルゴリズムによる未臨界度推定の場合に比べて非常に大きく、ADFアルゴリズムによる結果をそのまま未臨界度推定値とするにはやや問題がある。従って、推定結果を平滑化する二次的なアルゴリズムを付加することが重要になる。本研究では、ADFによる推定パラメータに500次の単純移動平均、更に、その平滑化されたパラメータの再移動平均、500データ毎の相加平均などの平滑化を行った結果、いずれも統計的変動を充分小さくすることができた。
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PNC TJ1632 97-001, 139 Pages, 1997/03
核燃料再処理工場等に用いられる安価で即応性の良い臨界安全監視システムの開発を目的として、過去5年間にわたって逐次型ARMAモデル同定手法の安全監視システムへの応用と言う観点から各種の検討を行ってきた。これらの成果を実際のシステムとして構築することがこれからの課題であり、本年度はこれらの知見を実際の臨界安全監視システムとしてシステム化するために必要となるモジュールに付いて検討を行うと共に、平成8年3月に動燃事業団・大洗工学センターのDCA実験装置において行われた炉雑音実験データを解析し、これまでの手法の有効性と限界を確認すると共に以下の結論を得た。1.中性子信号を検出し、アナログ/ディジタル変換を行うシステム構成は中性子検出器に何を用いるかによって変わる。しかし、今回のDCA実験データの解析結果はパルス型の中性子検出器の方が、電流型よりも有効であることを示している。電流型の場合には、ハムノイズを除去するための適当なノッチフィルタを設計しなくてはならない。2.従来は、同軸ケーブルなどを用いて信号の伝送を行ってきたが、近年、光ケーブルを用いた信号の伝送技術が主流となっている。そこで、本システムでは光伝送制御システムの利用を提案する。この技術は大量の情報の伝送を可能にするばかりでなく各モジュールの遠隔制御を可能にする。また、この方法は、耐電磁誘導障害、耐火性に富み、システムの信頼性を高める。3.信号解析部として、システムを固定化してしまうROMチップを用いるよりも、近年目覚ましい進歩を示している高性能計算機と各種の信号解析ソフトウェアを組み合わせた総合信号解析処理システムを提案した。この手法はソフトウェアや解析技術の進歩を即座にシステムに取り入れることが可能となるばかりでなく、特別なシステムを付加することなく、時代と共に進歩・発展する柔軟な臨界安全監視システムを構築することができる。
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PNC TJ1632 95-001, 107 Pages, 1995/03
安価で即応性の良い臨界安全監視システムの開発が望まれている。本研究は未臨界体系で観測される中性子信号揺らぎを用いてオンラインで未臨界度を推定しようとする試みであり、そのための基礎的研究を平成3年度より行ってきた。未臨界度が浅い状態から深くなる非定常状態では、この逆の非定常状態のときほど高速には未臨界度の変化を追跡できない問題があり、本年度はこの問題を解決するための最適アルゴリズムの検討を行うと共に、動燃事業団DCA実験炉雑音データを解析し、以下の結果を得た。1.未臨界度が変動する非定常状態における未臨界度推定アルゴリズムとしては、我々が提案してきたP行列活性化(P-matrix Activation:PMA)法を更に改良したP行列対角要素活性化法(PMDA法:P-Matrix Diagonal Activation Method)が有効である。特に、未臨界度が深い方向に変化する場合は最小2乗関数を評価関数とするELS法、及び適切な忘却計数パラメータを用いたRPE法が優れていると言える。しかし、未臨界度の変化がどの方向に変化するのか分からないような一般的な場合、細かいパラメータを選択する必要のない点で、RPE法よりもELS法にP行列対角要素活性化を組み合わせたアルゴリズムが最も有効であるととの結論を得た。2.従来から我々が行ってきた近大炉実験データの信号処理法が、DCA実験装置を用いた中性子検出器揺らぎ信号の解析にも有効であることが実証された。すなわち、本年度、動燃事業団・大洗工学センターのDCA実験装置を用いて行われた未臨界定常運転時の中性子信号揺らぎデータを解析した結果、未臨界度が0$11.2に対し、周波数スペクトル折れ点周波数は数Hzから数十Hzの間に分布している。
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PNC TJ1632 94-001, 91 Pages, 1994/03
安価で即応性の良い臨界安全監視システムの開発が望まれている。本研究は未臨界体系で観測される中性子信号揺らぎを用いてオンラインで未臨界を推定しようとする試みであり、そのための基礎的研究を平成3年度より行ってきたが、未臨界度の変化を迅速に検出できるアルゴリズムの検討が最も重要となる。我々は非定常状態に対するパラメータ推定法として、従来の逐次型ARMAモデル同定アルゴリズムの中でパラメータ修正係数の大きさを決定する予測誤差の相関行列を強制的に操作するP行列活性化法を提案してきた。本年度はこの手法に的を絞り、計算機シミュレーションと近畿大学原子炉からの実データを用いてアルゴリズムの検討を行い、以下の検討を得た。変動する未臨界度を追跡するアルゴリズムとして我々が提案してきたP行列活性化(P-matrix Activation:PMA)法が有効である。未臨界度が浅い方向に変化する場合は尤度関数を評価関数とするRML法にP行列活性化を組み合わせたアルゴリズムが、また、深い方向に変化する場合は最小2乗関数を評価関数とするELS法が優れており、未臨界度の変化を総合的に追跡するためにはELS法にP行列活性を組み合わせたアルゴリズムが優れているといえる。未臨界体系のモデルとしてARMA(1,1)モデルを用いた場合、推定値の統計的変動が少ないが、速やかに変動を検出する能力にやや欠ける。また、ARMA(2,2)モデルは比較的未臨界度の変動の検出能力はあるが、ARMA(1,1)モデルに比べ推定値のばらつきが大きく、また時系列データの変化が急激な場合には、一時的に誤った未臨界度を推定する場合がある。また、サンプリング周波数を高くすることは未臨界度の変化に対する推定値の追従性能を向上させ、未臨界度が深い方へ変化するときに推定値が追従しきれないUnder Estimation現象を抑制する効果がある。